『憲法カフェ×くらしとせいじカフェ@草津(まんぽのとなり)』
2015/7/6(月) 10:15〜12:00
明日の自由を守る若手弁護士の会「あすわか」さんから
小谷弁護士さんが来てくださって、
「日本国憲法憲法」と「安保法制」のことについて
わかりやすくお話していただきました〜♪
http://www.asuno-jiyuu.com/
開催の様子を
前編<日本国憲法のこと>
後編<安保法制のこと>
に分けてレポートします^^
レポート前半 <日本国憲法のこと>
▶まず、小谷さんのごあいさつをいただきました♪
「明日の自由を守る若手弁護士会(あすわか)」の小谷といいます。
まず「あすわか」の紹介を。
私たちが生まれるきっかけをくれたのは、自民党(笑)。
2012年に、自民党の改憲草案が発表されました。
これを読んだ若手弁護士が
「これはわたしたちの知っている憲法とは根本的なところが違う。
この憲法が目指すような社会になってしまったら」ってこわくなり、
互いに呼びかけて立ち上げた会です。
ただし、必ずしも「護憲」というスタンスをとってるわけではありません。
今の憲法も、条文によっては変えた方がいいところがあるかもしれない。
でも「護憲」とか「改憲」とか言う前に、まずはいまの憲法を知ってほしい。
「知憲」という言い方をしているんですけど、知ったうえで、
変えるとか変えないとかという話しをしましょうよっていう活動をしています。
法律家の集まりなので、主にやっている事は情報発信です。
ブログでニュースの解説をしたり、
改憲や集団的自衛権についてのリーフレットを作ったり
みなさまのところへ出張して
今日のように「憲法カフェ」をしたりしています。
あすわかの会員は、全国に約420人がいて、
今ではカフェを開催していない日はないくらいです。
▶参加者さんの参加の動機
(2人がペアになり、相手の「他己紹介」をしました)
*憲法や政治は遠いことのように感じていたけれども、
近頃はそうじゃないんやなって思うようになって参加しました。
*子どもの頃、子ども向けの本に日本国憲法が載っていて、
その前文がとってもよかった。泣けるくらい。
今日は改めて、我が子にも伝えたいし、勉強にきました。
*憲法のこと全く知らないので、今日は知りにきました。
*10年くらい前に教育基本法が変わってしまった。
今、憲法はどうなるのかという危惧があって来ました。
*いまの時代に憲法のこと勉強したいけれども、
どうやってしたらいいのかわからない。
どこに、なんて言っていいのかわからない。
だから勉強したいという気持ちできました。
*憲法のことは小学校の授業で習って以来、
学んでいないので知りたくてきました。
*戦争はあかんやろうっていう強い意志を持って参加しました。
なんと!日本国憲法がすべて印刷されたクリアファイルを参加者みなさんにいただきました♪
▶そして、憲法クイズ~♪
Q1、日本国憲法のなかに「愛」という文字は入っている。◯か×か?
<正解は◯>
前文の「、、、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、、、」
というところに出てきます。
前文というのは、「なぜこの憲法を作ったのか」
「どういう社会を目指しているのか」が書いてある部分です。
「愛」の文字が出てくる辺りは
日本国憲法三大原則の「平和主義」を表している所です。
ほかには「基本的人権の尊重」、「国民主権」があります。
Q2、「平和主義」からの問題です。
日本が外国から攻撃されても、
憲法9条の制約があるので自国を守るために
武力行使する事は禁止されている。従来の政府見解では◯か×か?
<正解は×>
まず前提として、これは今話題の集団的自衛権の話ではありません。
直接攻撃されて反撃出来るかどうかは、個別的自衛権の問題です。
日本の政府は、戦後、憲法九条はあるけれど
個別的自衛権の行使は許されているという考え方をとってきました。
Q3、憲法の条文に記載されていない権利、
例えばプライバシー権、知る権利、環境権などは
憲法には書かれていません。
書かれていないと憲法上保障されないので、
保障するためには憲法改正の手続きが必要。○か×か?
<正解は×>
憲法上明記されていない権利であっても重要性があれば、
憲法上保護されていると解釈されます。
例えば、知る権利というのは21条の表現の自由が根拠になるとされています。
表現するためにはまず何かを知る。
知る事ではじめて表現出来るようになる。
表現の自由の大前提として知る権利が保障されていると考えられています。
Q4、憲法を改正するには、
国民投票において有権者全員の過半数の賛成が必要である。◯か×か?
<正解は×>
改正手続きは、憲法96条に書かれています。
衆議院、参議院の3分の2以上の賛成があって、国民に発議をします。
安倍一次内閣のときに国民投票法というのができて
国民投票で改憲するために必要なのは、
投票総数(有権者数ではない!)の2分の1というふうに決められました。
日本の憲法は変えにくいといわれていましたが、
衆参の3分の2を超え、国民投票になったら実はそんなに難しいことではない。
私たちが無関心でいると、
気がついたら変わっているということもありえるかもしれません。
Q5、国民は、憲法を尊重し擁護しなければならない。○か×か。
<正解は×>
99条を見て下さい。
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は
この憲法を尊重し擁護する義務を負う」とあります。
国民には尊重擁護義務は課せられていません。
このクイズはいつも正解率が悪いんです(今日は良かったです♪)。
なぜ、国民には課せられていないのか。
これは、憲法ってなんのためにあるのか、ということから考える必要があります。
キーワードは「立憲主義」。
▶ここで、あすわかの紙芝居「憲法ができるまで」を読んでいただきました♪
ユーチューブで見てね〜↓
https://www.youtube.com/watch?v=zWvD1rjusF8
権力というのは常に行き過ぎたり暴走したりする危険があります。
権力の乱用は個人の自由を侵害してしまいます。
個人の自由を守るために権力の乱用を縛るものが憲法であり、
特に「立憲主義の憲法」と言います。
憲法と法律の関係は守らなきゃ行けないルールという点では同じですが、
誰が守るのかという点では全く逆です。
法律は基本的には国が作って私たち国民が守らないといけないルール。
憲法は私たち国民が作って国とか権力に守らせるためのものです。
三権分立というのも立憲主義の考え方からできています。
ちなみに、憲法は、私たち国民に「不断の努力」を求めています。
憲法12条を見て下さい。
憲法が保障している私たちの自由や権利は私たち国民が、
常に努力して保持しなければいけない、ということが書いてあります。
12条は、私が一番好きな条文です。
▶基本的人権アラカルト☆
(あすわかの、「憲法条文イラスト」を映しながら、解説頂きました。)
*13条と14条。
人は生まれたときから個人として尊重され法の下に平等な存在として扱われます。
26条では、教育を受ける権利が保証されています。
学問の自由は23条で保障されており、何を学ぶかは自由です。
さて、ここでミニクイズ〜。
子どもには教育を受ける義務がある。◯か×か?
<正解は×>
子どもに教育を受けさせる義務は保護者にあります(26条2項)。
*27条で勤労の権利、22条では職業選択の自由が定められていています。
働いてから大事になってくるのが
28条勤労者の団結権、団体交渉権、団体行動権。
*24条は結婚について。
いまホットなニュースとして、同性婚や選択制夫婦別姓、
女性の待婚期間が話題になっています。
憲法では「婚姻は両性の合意のみに基づいて、、、」とあるので、
同性間の結婚は許されないんではないか、と言われることがあります。
明治憲法の時には女性の結婚には戸主の同意が必要だったのが
日本国憲法になって戸主の同意が無くなって二人の意思だけでできるんだよ、
というのが24条の趣旨なので、
同性婚が違憲ということにはならないと私は考えています。
さらにすすんで、
同性婚を認めないことが違憲なんじゃないのか、という議論もあります。
選択型夫婦別姓については、
いまは結婚した後どちらかの姓にしなくてはいけない。
96%が男性の姓になっているので
この実態が憲法違反なんじゃないかと
裁判している人がいて最高裁へ上がっています。
女性は離婚後に6ヶ月再婚出来ないって期間があるんですが
男性は無いのでこれも憲法違反なんじゃないかという事も
いま、大法廷で議論されています。
*今日の憲法カフェも21条の集会の自由で保障されています。
*私たちが生活に困った場合には、25条。
健康で文化的な最低限度の生活が保障さていて、
権利として生活保護を受給することができます。
*31条から40条までは刑事事件の被疑者、被告人の権利を規定しています。
日本国憲法は、ここの規定が詳しいのが特徴の一つ。
戦争前、そして戦争中、
戦争に反対する人を捕まえて、拷問する、殺してしまう、
ということがあったので、
その反省から、今の憲法で手厚く保障しているんです。
*18条は最近ニュースで話題になっています。
徴兵制との関係ですね。
これまでは徴兵制というのは「意に反する苦役」だから
許されないんだってことがずっと言われてきたんですが、
憲法9条があっても集団的自衛権行使できるって解釈が
まかり通ってしまうのなら、
徴兵制も解釈で可能になっちゃうんじゃないのとことが言われています。
▶自民党の憲法草案についてワンポイント解説
「緊急事態条項」ってご存知ですか?
現行憲法には無いものです。
自民党の草案にはあります。
ざっくり説明すると、内閣が緊急事態を宣言します。
そうすると、内閣が決めたことが法律と同じ効力を持ちます。
国民はそれに従わなくてはならないことになります。
三権分立が分立ではなくなりますね。
行政が宣言すれば何でも出来るようになるという案です。
これが通れば憲法がなくなってしまうくらいのこわい内容です。
来年の参議院選後には改憲の国民投票をやるんだ、
という話がありますが、
緊急事態条項は、今改憲の1番目のテーマとしてあがっています。
これから報道も増えると思いますので、注意して聞いて下さいね。
▶もっと憲法を知りたい人のための、おすすめ本☆
憲法がしゃべった<木山泰嗣著>
日本国憲法大阪おばちゃん語訳<谷口真由美著>
憲法主義 <内山奈月(AKB48)著、南野森著>